経営とは、万物の命の営みである。人間の営みを生涯の学とするところに、経営学の知が生まれる。だが、人間の営みは同意と反意の相克である。真理はその超越にある。かくして、経営は生と死を超え、見える道・見えない道を融合する”道(未知)”の探求にある。その過程に自己の有効性を、“隠れた実在”との出逢いを通じて自己覚醒する。国際経営文化学会が考えている経営とは、かような意味での【命の営み】・【人間の営み】を、知的事実として認識し、研究交流し、教育実践することにある。

 私共が定義する経営とは文化と同意義であり、「経営はすなわち文化であり」、「文化はいわゆる経営なのである」。なぜならば、経営も文化も人間の営みを中心に万物の命の営みの現象を研究対象とし、その起源に還る生物連鎖的視点を理論的支柱にするからである。私共は自然科学の社会科学化現象を通じて、分析科学の個別要素還元主義を学び、さらにその領域から脱する統合の方向での生命起源還元主義を求めてきた。文化と経営の交差の広場を増やすことが私共の学会の役割である。そこには、地球史的視点での地球建設文明のための経営と文化の融合理論、すなわち、自己の中の宇宙を活性化する「経営文化論」の誕生が望まれる。

     

 さて、本学会は「経営文化の研究」と、それに合わせて「国際経営の研究」を併合する。国際経営学会と経営文化学会との両輪が本学会の特性である。別の言い方をすると、インターナショナル・マネジメント(ビジネス・アドミニストレーション)と、経営人類学との結合が本学会の成立基盤である。しかも、その研究方法論は個別科学から出発し、それを重視し、次に学際研究に馴染み、さらにその学際研究の限界を超えて、【超学際的方法】を開発することにある。そこから直観を含め、国際経営文化論的立場での【超学際理論】を求めることにある。

 これまでの実験的な国際経営文化の研究領域は、「環境」「比較」「文化」「移転」「生態」「人間」「地域」「倫理」「哲学」「理論」をキーワードとしてきた。そこでの発見は、面白いことに「国際が、国内に消え」、「国内が、国際に消化してしまう」。言い換えると「国際が、経営と文化の内的生命に解体して、かくして、経営と文化が、再生する」。そうした意味での国際経営文化学の生命起源還元主義的な研究課題を、私共は今、痛感している。

国際経営文化学会会長 村山元英
(「国際経営文化学会名簿」より転載)